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13 破産と税務手続

(1) 破産法人の税務手続き

(イ) 概要
裁判所による破産宣告がなされると、その翌日から清算事業年度となるため、通常1年間の事業年度が、年の途中で終了することとなります。清算事業年度の所得計算は、通常事業年度の所得計算と次のように大きく異なります。
また、破産等に至った会社のほとんどが大幅な赤字会社で債務超過となっていることが予想されます。このようなケースですと新たに納税が発生するということはあまりありませんが、逆にいかに税金を還付してもらうかということが問題となってきます。還付が考えられる税金は下記(c)のようになりますが、この中でも特に「欠損金の繰戻し還付」については還付額が多額となることもありえますので注意が必要となります。
(a) 事業年度の取扱い
通常の会社が解散すると、その解散の日までを「解散事業年度」、その翌日からを「清算事業年度」とし、税額計算の方法なども大きく変更されます。
破産会社の場合には、裁判所から破産手続開始がなされた日を解散の日とすることとされています。
また、通常の会社ですと、法人税等の申告について責任を持つ者(申告義務者)は、その会社の代表取締役ということになりますが、破産会社の場合には、裁判所から選任された破産管財人が申告義務者となります。
(b) 清算事業年度の所得計算
通常の事業年度の所得は益金から損金を控除するという方法により計算しますが、清算事業年度の所得は残余財産(すべての財産を換金して債務を弁済した残りの額)から、資本金等の額及び利益積立金額等を差し引くという方法により計算されます。
(c) 還付される税金の種類
破産会社はキャッシュに不足が生じている場合が多いため、いかに速やかに税金の還付が受けられるかがポイントとなります。破産会社で税金の還付が考えられる場合は以下のとおりです。
1) 利子、配当等の源泉所得税の還付
2) 都道府県民税の利子割額の還付
3) 法人税、消費税、地方税等の中間納付額の還付
4) 欠損金の繰戻し還付
欠損金の繰戻し還付とは、その事業年度において生じた欠損金額を、前事業年度の所得と相殺することにより、その前事業年度に支払った法人税額を還付することが出来るという制度です。この取扱いは、現在凍結状態にあり、通常の法人の場合は適用することは出来ませんが、破産法人は原則どおりの使用が可能となっています。この還付を受けるためには、1年決算法人であれば、欠損事業年度とその前年の所得のある事業年度が青色申告でなければなりません。
しかし、破産等に至った会社はその前の事業年度においても納税額が発生しているというケースは稀であると考えられるため、実務上はあまり活用されていませんが、資金不足のため前年に生命保険を途中解約した場合や不動産を売却した場合等で、多額の納税が発生してしまっている会社は検討の余地があります。
(d) 申告の種類
解散事業年度については、通常通りの確定申告書が使用されますが、清算事業年度については、以下のような申告書が使用されます。破産の場合、税額が発生することはほとんどないため、申告書を提出する実質的な意義は、預貯金の利子等に係る源泉所得税等の還付を受けることにあります。
1) 清算事業年度予納申告書
清算中の各事業年度(残余財産の確定事業年度を除きます)終了の日の翌日から2月以内に申告するものです。
2) 残余財産分配予納申告書
清算中に残余財産を一部分配する場合において、その分配する残余財産の価額が、解散時における資本金等の額及び利益積立金額の合計額を超える場合には、分配の都度、分配日の前日までに申告するものです。
3) 清算確定申告書
残余財産が確定した場合に、確定した日の翌日から1月以内に申告するものです。
(e) 仮装経理による過大申告の更正の請求と還付
解散事業年度以前に粉飾決算による過大申告を行い、法人税を過大納付していた場合には、通常通り更正の請求を行うことができますが、一般の場合とは制度が異なります。
まず、粉飾という納税者の都合による過大納付を行っていたため、納税者自身がその粉飾を修正し、修正後の確定申告書を提出しなければ、税務署長は更正をしないことができます。
さらに、更正をしても一括で全額を還付するわけではなく、更正後5年間にわたって本来納付すべき法人税額から順次控除することになっています。法令からは明らかではありませんが、5年間の法人税額から控除しきれなかった金額がある場合には、最後の控除を行った確定申告書の提出後に還付されることになります。