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12 個人の債務者のための免責と復権

(4) 免責の要件

(イ) 必ず免責される場合
裁判所は、下記(a)から(k)の免責不許可事由のいずれにも該当しない場合には、必ず免責許可決定をしなければなりません(破産法252条1項)。
(a) 債権者を害する目的で、破産財団(債権者への配当原資となる債務者の財産)に属し、または属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと(破産法252条1項1号)。
(b) 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、または、信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと(破産法252条1項2号)。
(c) 特定の債権者に対する債務について、その債権者に特別の利益を与える目的、または、他の債権者を害する目的で、担保の供与または債務を消滅させる行為であって、債務者の義務に属せず、または、その方法もしくは時期が債務者の義務に属しない行為をしたこと(破産法252条1項3号)。
(d) 浪費やギャンブルによって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと(破産法252条1項4号)。
(e) 自己破産の申立をした日の1年前の日から破産手続開始決定がなされた日までの間に、破産手続の開始要件があることを知りながら、これがないと信じさせるため、債権者を騙して信用取引により財産を取得したこと(破産法252条1項5号)。
(f) 業務および財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、または変造したこと(破産法252条1項6号)。
(g) 虚偽の債権者名簿または債権者一覧表を提出したこと(破産法252条1項7号)。
(h) 破産手続で裁判所が行う調査について、説明を拒み、または虚偽の説明をしたこと(破産法252条1項8号)。
(i) 不正な手段により、破産管財人、保全管理人などの職務を妨害したこと(破産法252条1項9号)。
(j) 説明義務、重要財産開示義務、免責に関する調査協力義務その他破産法で定める義務に違反したこと(破産法252条1項11号)。
(k) 以前に、自己破産や民事再生を行ったことがあり、免責許可の決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、民事再生手続のハードシップ免責決定がなされ、これらの決定の確定の日から7年が経過していないこと(破産法252条1項10号)。
(ロ) 裁判所の裁量で免責される場合
免責不許可事由が存在するときでも、裁判所は必ず免責不許可決定をしなければならないわけではなく、破産手続開始決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して、免責を許可することが相当であるときは、裁量で免責を許可することもできます(裁量免責。破産法252条2項)。
裁量免責の可否にあたり、考慮される具体的事由としては、(a)免責不許可事由に該当する行為の動機、原因、その後の状況、(b)免責不許可事由に該当する行為の態様、行為時における債務者の主観的状況、(c)弁済努力の有無、(d)債権者の信用調査の有無、程度、(e)債務者の更生の意欲、更生の見込みの有無、(f)債権者の意見などがあげられます。
実際、免責不許可事由が存在する場合に、弁護士が代理人につくことによって少額管財手続により、裁判所の裁量により免責されたケースは多数存在します。免責が許可されないケースは全体の0.1%(1000件に1件)程度です。