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(15)相続財産の破産

(ホ)相続人または受遺者の破産

  • 相続人または受遺者が破産した場合の破産法上の効果について教えてください

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  • 相続人である破産者の単純承認または相続放棄の効力
    (1) 破産手続開始の決定前に破産者のために相続の開始があった場合において、破産者が破産手続開始の決定後にした単純承認および相続放棄は、破産財団に対しては、限定承認の効力を有するものとされます(破産法238条1項)。
    (2) ただ、破産管財人は、破産者が行った相続放棄の効力を認めることができます(同条2項)。この場合、破産管財人は、相続放棄があったことを知ったときから3か月以内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。
  • 相続人が破産した場合の限定承認または財産分離手続との関係
    (1) 相続人についての破産手続開始の決定によって、限定承認または財産分離が妨げられることはありません(同法239条1項)。
    (2) ただし、その相続人のみが相続財産につき債務の弁済に必要な行為をする権限を有するときは、破産手続開始の決定の取消しもしくは破産手続廃止の決定が確定し、または破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認または財産分離の手続は中止します。
    (3) 相続人について破産手続開始の決定があった後、その相続人が限定承認をしたとき、または、その相続人について財産分離があったときは、破産管財人は、その相続人の固有財産と分別して相続財産の管理および処分をしなければなりません(同法242条1項)。限定承認または財産の分離があった後に相続人について破産手続開始の決定があった場合も同様です。
    (4) 破産管財人が相続財産の管理および処分を終えた場合において、残余財産があるときは、その残余財産のうちその相続人に帰属すべき部分は、その相続人の固有財産とみなされます(同条2項)。
  • 相続人が破産した場合の相続債権者、受遺者および相続人に対する債権者の地位
    (1) 相続人について破産手続開始の決定があった場合には、相続債権者および受遺者は、財産の分離があったとき、または、相続財産について破産手続開始の決定があったときでも、その債権の全額について破産手続に参加することができます(同法240条1項)。
    (2) 相続人について破産手続開始の決定があり、かつ、相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続人に対する債権者の債権は、相続人の破産財団については、相続債権者および受遺者の債権に優先します(同条2項)。
    (3) 民法941条1項の財産分離の請求をすることができる期間内にされた破産申立により、相続人について破産手続開始の決定があったときは、相続人の固有財産については、相続人に対する債権者の債権が相続債権者および受遺者の債権に優先し、相続財産については相続債権者および受遺者の債権が相続人に対する債権者の債権に優先します(破産法240条3項)。
    (4) 相続人について破産手続開始の決定があり、かつ、相続人が限定承認をしたときは、相続債権者および受遺者は、相続人の固有財産について、破産債権者としてその権利を行使することはできなくなります(同条4項)。破産法238条1項の規定により限定承認の効力を有するときも同様です。
  • 相続人が破産した場合に限定承認または財産分離の手続において相続債権者等が受けた弁済
    (1) 相続債権者または受遺者は、相続人について破産手続開始の決定があった後に、限定承認または財産分離の手続において権利を行使したことにより、破産債権について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の額について破産手続に参加することができます(同法241条1項)。相続人に対する債権者が、相続人について破産手続開始の決定があった後に、財産分離の手続において権利を行使したことにより、破産債権について弁済を受けた場合も同様です。
    (2) この場合、相続債権者もしくは受遺者または相続人に対する債権者は、他の同順位の破産債権者が自己の受けた弁済(ただし、相続人が数人ある場合には、その破産手続開始の決定を受けた相続人の相続分に応じた部分に限ります)と同じ割合の配当を受けるまでは、破産手続により、配当を受けることはできません(同条2項)。
    (3) なお、この弁済を受けた額の債権について、相続債権者もしくは受遺者または相続人に対する債権者は、破産手続上議決権を行使することができません(同条3項)。
  • 受遺者の破産
    (1) 包括受遺者について破産手続が開始した場合については、以上の相続人が破産した場合に関する規定が準用されます(同法243条)。
    (2) 破産手続開始の決定前に、破産者のために特定遺贈があった場合において、破産者がその決定のときにおいてその承認または放棄をしていなかったときは、破産管財人は、破産者に代わって、承認または放棄をすることができます(同法244条1項)。 この場合、遺贈義務者その他の利害関係人は、破産管財人に対して、相当の期間を定めて、その期間内に承認または放棄をなすべき旨を催告できます(同条2項)。