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(15)相続財産の破産

(ハ)相続財産についての破産手続開始決定の効力

  • 相続財産についての破産手続開始決定の効力を教えてください

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  • 破産財団の範囲
    (1) 相続財産について破産手続開始決定があった場合には、相続財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない)は破産財団とされます(破産法229条1項)。
    (2) 民法上、被相続人が相続人に対して有していた権利は、相続によって混同により消滅するのが原則(民法179条、520条)ですが、相続財産について破産手続開始決定があったときは、相続債権者や受遺者との公平の見地から、被相続人が相続人に対して有していた権利は消滅しなかったものとみなされ、破産財団に属することとなります(破産法229条1項)。
    (3) 相続人が相続財産の全部または一部を処分した後に、相続財産について破産手続開始決定があったときは、相続人がその処分の反対給付について有する権利(例えば、売却処分した場合の代金支払請求権)は破産財団に帰属します(同法229条2項)。この場合、相続人が既に反対給付を受けているときは、相続人はその反対給付を破産財団に返還しなければなりません(同条3項)。ただし、相続人がその反対給付を受けた当時、破産手続開始の原因となる事実または破産手続開始の申立があったことを知らなかったときは、その反対給付が現存する限度で返還すれば足ります。
  • 相続人等の説明義務
    相続財産について破産手続開始決定があった場合には、
    (1) 被相続人の代理人であった者、
    (2) 現在または過去における相続人およびその代理人、
    (3) 現在または過去における相続財産の管理人または遺言執行者は、破産管財人もしくは債権者委員会の請求または債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければなりません(同法230条)。
  • 利害関係人の地位
    (1) 相続財産について破産手続開始決定があった場合には、相続人について破産手続開始決定があった場合でも、相続債権者および受遺者は、その債権の全額について破産手続に参加することができます(同法231条1項)。この場合、相続債権者の債権は受遺者の債権に優先するものとされます(同条2項)。
    (2) 相続財産について破産手続開始決定があった場合には、民法上の混同の原則の例外として、相続人が被相続人に対して有していた権利は消滅しなかったものとみなされ(同法232条1項)、相続人は、被相続人に対して有していた債権について、相続債権者と同一の権利を有します。この場合、相続人が相続債権者に対して自己の固有財産をもって弁済その他債務を消滅させる行為をしたときは、相続人は、その支出した額の範囲内において、その相続債権者が被相続人に対して有していた権利を代位行使することができます(同条2項)。
    (3) 相続財産について破産手続開始決定があったときは、相続人自身に対する債権者は破産債権者としてその権利を行使することができなくなります(同法233条)。
  • 相続財産破産と否認権
    (1) 相続財産の破産の場合も、破産手続開始決定の効果として、破産財団から逸出した財産がある場合には、一定の要件のもと、破産管財人に否認権の行使が認められます。
    (2) その場合、被相続人、相続人、相続財産の管理人または遺言執行者が相続財産に関してした行為は、破産者がした行為とみなされます(同法234条)。
    (3) また、受遺者に対する担保供与または債務の消滅に関する行為がその債権に優先する債権を有する破産債権者を害するときは、その行為を否認することができます(同法235条1項)。
    (4) これらの規定により、相続財産に関してなされた行為が否認された場合、破産管財人は、相続債権者に弁済した後、否認された行為の相手方に対し、その権利の価額に応じて残余財産を分配しなければなりません(同法236条)。