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(12)配当

(ニ)簡易配当・同意配当

  • 破産手続における簡易配当・同意配当とはどのようなものですか

  •  
  • 最後配当の原則
    最後配当は、
    (1) 破産管財人の裁判所書記官に対する最後配当の許可申請(破産法195条2項)、
    (2) 破産管財人による配当表の作成および裁判所への提出(同法196条)、
    (3) 最後配当の公告または届出債権者への通知(同法197条)、
    (4) 公告の発効日または通知が到達するのに通常必要な期間が経過したことを裁判所に届け出た日から2週間の除斥期間の経過(同法198条)、
    (5) 配当表に対する1週間の異議期間の経過(同法200条)、というプロセスを経て配当額が確定し(同法201条1項)、
    (6) その額を配当手続に参加する債権者に改めて通知して(同条7項)、
    ようやく実際に配当が行われます。すなわち、最後配当が実施されるまで、最短でも上記1(1)の許可申請から3週間を超える期間が必要となります。
    また、最後配当では、上記1(5)の異議期間中に届出債権者から配当表に対する異議の申立て(同法200条)があったとき、その裁判に対しては即時抗告が可能であるため、裁判確定までにはさらに1週間が必要です(同法13条、民事訴訟法332条)。また、これらの裁判書は送達しなければなりません(破産法200条4項)。
  • 簡易配当の場合
    簡易配当の場合、
    (1) 破産管財人による裁判所書記官に対する簡易配当の許可申請(同法204条1項)、
    (2) 破産管財人による配当表の作成および裁判所への提出(同法同条2項・205条・196条1項)、
    (3) 届出債権者に対する配当見込額を定めた簡易配当の通知(同法同条2項)、
    (4) この通知が到達するのに通常必要な経過が経過したことを裁判所に届け出た日から1週間の除斥期間の経過(同法205条・198条)、
    (5) 配当表に対する1週間の異議期間の経過(同法205条・200条)
    により、配当額が確定し、届出債権者に対して改めて通知をすることなく、簡易配当を実施することが可能です。
    また、簡易配当では、上記2(5)の異議期間中に届出債権者から配当表に対する異議申立があっても、その裁判に対しては即時抗告ができず、裁判書の送達も必要とされておりません。
  • 同意配当の場合
    裁判所書記官は、届出破産債権者の全員が、破産管財人が定めた配当表、配当額、配当の時期・方法について同意しているときに限り、破産管財人の申立があった場合に、簡易配当の許可をすることができます(同法208条)。
    同意配当では、届出債権者全員の同意があることから、さらに手続が簡略化され、手続参加についての除斥期間や配当表に対する異議期間がなく、裁判所書記官の許可がありしだい、同意内容に従った配当を行うことができます(同法208条)。
  • 手続の選択
    (1) 簡易配当が許可されるためには、次のいずれかの要件を満たすことが必要です。
    (イ) 配当可能金額が1000万円未満であること(同法204条1項1号)。
    (ロ) 破産手続開始決定時に裁判所が簡易配当をすることについて、破産債権者に異議がある場合には異議を述べるべき旨の公告および通知を行い、これに対して届出債権者が所定の期間内に異議を述べなかったこと(同項2号)
    (ハ) 簡易配当を行うことが相当と認められること(同項3号)
    (2) (イ)の場合破産債権者は簡易配当を行うことについて異議を述べることができませんが、(ハ)の場合、破産債権者は異議を述べることができ、異議があると、簡易配当の許可は取り消され(同法206条後段)、改めて最後配当を行わなければならないことになるので、かえって手続が煩雑になりかつ長期化してしまうことになります。したがって、配当可能金額が1000万円未満の事件については、後述の中間配当を行った事件を除き、簡易配当を行うのが一般的ですが、これに対し、配当可能金額が1000万円を超える事件では、債権者が少数であって、債権調査ですべての届出債権が確定している等、簡易配当に対する異議が出ないことが明らかであるような場合に限り、簡易配当を選択するべきでしょう。
    (3) 中間配当を行った事件は、類型的に簡易迅速な手続になじむものとは言い難いことから、簡易配当はできないとされています(同法207条)。
    (4) 同意配当は、全ての破産債権者の同意が必要となりますので、債権者数がごく少数で、その同意が容易に得られる見込みがある場合に限られることとなるでしょう。