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(11)否認権

(ハ)偏頗行為の否認

  • 破産手続における偏頗行為の否認とはどのようなものですか

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  • 偏頗行為の否認
    (1) 破産者が既存の特定の債権者に対し、担保を供与し、または、弁済等により債務を消滅させる行為(偏頗行為)は、(イ)破産者が支払不能になった後、または、(ロ)破産申立があった後には、破産財団のために否認することができます(破産法162条1項1号)。
    (2) ただし、
    (イ) 破産者が支払不能になった後にされた場合には、その偏頗行為の当時、その債権者が、破産者が支払不能であったこと、または、破産者の支払停止の事実を知っていたこと
    (ロ) 破産申立後にされた場合には、その偏頗行為の当時、その債権者が破産者に破産申立があったことを知っていたことが必要です。
    (3) なお、破産者が偏頗行為の相手方である特定の債権者と一定の関係にある場合、例えば、破産者である法人の理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人等(法161条2項1号)、破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者等(同項2号)、破産者の親族または同居人(同項3号)については、その偏頗行為の当時に、支払不能または支払停止の事実、または、破産申立ての事実を、債権者が知っていたことが推定されます(法162条2項1号)。したがって、否認を争う債権者の方で、その行為の当時、これらの事実を知らなかったことを証明しなければなりません。
    (4) なお、担保の供与が偏頗行為として否認の対象になるのは、既存の債権者に対して担保を供与した場合のみであり、消費貸借契約と担保権設定契約が同時にされた場合等、既存の債権者に対してなされたものでない場合には、否認の対象にはなりません。
  • 非義務行為について
    (1) 破産者が、義務でないのに、特定の債権者に対して、既存の債務についての担保供与または債務を消滅させる行為(たとえば、債務の弁済期が到来していない場合や、担保を提供する合意がなかった場合等)をした場合については、支払不能になる前30日以内にされた行為についても、破産手続開始後、破産財団のために、否認することができます(同条1項2号)。ただし、債権者がその偏頗行為の当時、他の破産債権者を害する事実を知らなかったときは、否認することはできません。
    (2) この場合、その偏頗行為の当時に、支払不能または支払停止の事実、または、破産申立ての事実を、債権者が知っていたことが推定されます(同条2項2号)。
  • 支払不能の推定
    上記各場合について、支払不能の立証は困難であることから、客観的に支払停止があれば、支払不能であったものと推定されています(同条3項)。ただし、破産申立より1年以上前の支払停止については、破産申立との因果関係が必ずしも明白とはいえないため、支払不能を推定しないものとされます。