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(2)手続開始前の保全措置

(ロ)包括的禁止命令

  • 破産申立て後、破産手続開始決定前に、全ての債権者に対して強制執行等の全ての手続を禁止すること(包括的禁止命令)はできますか

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  • 包括的禁止命令の要件
    裁判所は、破産申立があった場合に、個別的な強制執行等の中止命令では破産手続の目的を十分達成することができないおそれがあると認められるべき特別な事情があるときは、事前または同時に債務者の主要な財産に関し破産法28条1項の規定による保全処分、または、同法91条2項に規定する保全管理命令をした場合に限り、利害関係人の申立または職権によって、破産申立につき決定があるまでの間、すべての債権者に対して、債務者の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般先取特権の実行もしくは留置権(商事留置権は除く。)による競売(強制執行等)および、国税滞納処分(国税滞納処分の例による処分を含み、交付要求を除く。)の禁止を命じることができます(同法25条1項。包括的禁止命令)。なお、裁判所は、相当と認めるときは、包括的禁止命令をなすにあたり、一定の範囲に属する強制執行等または国税滞納処分をその対象から除外することができ(同条2項)、またその命令を変更しまたは取消すこともできます(同条4項)。
  • 包括的禁止命令の効果
    包括的禁止命令がなされると、
    (1) 債権者は債務者の財産に強制執行等または国税滞納処分を行えなくなるほか、
    (2) 既にされている強制執行等の手続のうち包括的禁止命令により禁止されることとなるものについては、破産申立につき決定があるまでの間中止されます(同条3項)。
    また、
    (3) 包括的禁止命令により強制執行等または国税滞納処分が禁止された破産債権または財団債権となる債権は、包括的禁止命令が効力を失った日の翌日から2か月の間は時効が完成しません(同条8項)。
    なお、包括禁止命令、その変更または取消しの命令に対しては即時抗告をすることができますが(同条6項)、即時抗告には執行停止の効力はありません(同条7項)。
  • 包括的禁止命令の解除
    債権者保護の観点から、裁判所は、強制執行等の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、その債権者の申立てにより、その債権者に限り、その包括的禁止命令を解除する旨の決定をすることができ、この場合、その包括的禁止命令により中止されていたその強制執行等の手続は続行します(同法27条1項)。
  • 包括的禁止命令の濫用防止等
    まだ破産手続開始決定がなされていない段階で、安易な中止を認めることは破産手続の濫用を招くおそれがあるので、一度その禁止命令がなされれば、破産申立人は裁判所の許可がなければ破産申立てを取り下げることができないこととされています(同法29条)。